石垣島のレジャーといえばスクーバダイビングと言っても過言ではない人気のマリンアクティビティですが、スクーバダイビングによる事故についてこのコラムではフォーカスしていきたいと思います。
海上保安庁の発表によると、年間で約10〜25件ほどの死亡・行方不明の事故が発生しています。
ツアーに参加すれば手軽に楽しめる体験ダイビングからライセンスを持っているベテランのダイバーさんまで精通した内容となりますのでぜひご覧ください。
手軽に器材を自分たちで用意してビーチから入れるシュノーケリングとは違い、ダイビングは基本的にツアーへの参加が必要です。
ではなぜプロの目があるダイビングでの事故が起こるのかと言うと、海上保安庁の資料で多いのは「ダイバーの不注意」と「知識・技能不足」によるものというデータです。
その次に体調面や海況の悪さが挙げられています。
上記のような内容はしっかりと事前にケアすれば未然に防げることがほとんどです。
海上保安庁のデータによると2021年に起きたダイビング事故はマリンスポーツ全体の約4%とされています。(マリンスポーツ事故205人中、ダイビングは9名)
全体を見ると事故件数の少ないダイビングですが、水中という特殊な環境ゆえ死亡事故に繋がりやすいのも事実です。
そして事故者の年齢を見ると40代以上が非常に多いということが分かっています。
実際にどんな環境・状況での事故があったのか事例をいくつかご紹介します。
沖縄県石垣市伊原間の船越漁港の北側約3・4キロ付近の沖合で、ダイビングをしていた大分県の男性(42)が潜水後に心肺停止状態となり、搬送先の八重山病院で同4時7分、死亡が確認された。 石垣海上保安部によると男性は観光客で、水深8メートル付近を潜水中に何らかのトラブルが発生。
水深8メートル付近でトラブル発生か ダイビング後に男性死亡 | 沖縄タイムス+プラス ニュース | 沖縄タイムス+プラス (okinawatimes.co.jp)
沖縄県恩納村の真栄田岬西側の沖合で、水難事故とみられる119番通報があった。那覇海上保安部によると、あおむけで浮いていた北海道大学職員(33)が駆け付けた消防隊員によって陸地に引き揚げられたが、その場で死亡が確認された。
ダイビング中 北海道大学職員が死亡 沖縄・恩納村の沖合 | 沖縄タイムス+プラス ニュース | 沖縄タイムス+プラス (okinawatimes.co.jp)
男子生徒を含む実習参加者4人は午後2時25分ごろ、ダイビングを開始。藤原インストラクターは海中を移動中、10メートル以上にわたり生徒らを振り返らずに先行。男子生徒を見失い、同2時半ごろ、あおむけで海底に沈んでいるのを見つけた。
ダイビングの男性死亡 インストラクター書類送検 福井 – 産経ニュース (sankei.com)
ダイビングは楽しいという気持ちの反面、身体には大きなストレスがかかるマリンアクティビティです。
健康状態に何らかの兆候があり、それが原因で死に至る確率は約40%と言われています。(オーストラリアのデータに基づく)
死亡原因として多いのは「虚血性心疾患(狭心症・心臓発作など)」「呼吸器系の問題」などで特に心臓の問題で死亡するケースが最も多いとされています。
また、40代以上のダイバーで目立って多いのが「浸水性肺水腫」と言われています。
「浸水性肺水腫」とはダイビング前に自覚症状がなくても、水の中へ少し入っただけで呼吸のしづらさや息切れなどの症状が現れます。
加齢と共に誰にでもあり得る病気が潜んでいることもあるのです。
ダイビング中に急に肺の中に体液が溜まる病気で、胸腔の圧力変化によって肺が膨らみにくくなることで息苦しくなるものです。
人は水に浸かると手足の血液が体の中心に移動し、心臓や肺がうっ血するという生理的な特徴を持っていることから引き起こされると言われています。
特に40代以上、高血圧、低体温症などの要因が大きく影響されています。
ダイビングでは絶対的禁忌と呼ばれる参加することができない病気や状態、医師の診断があれば参加できる病気、風邪などの一時的な症状で治れば参加できる病気の3種類に分けられます。
※上記の病気や状態でも医師の診断があれば参加ができる可能性もあります。
耳鼻咽喉に関する病気やアレルギー症状なども医師の診断の対象となりますので、参加前に確認する必要があります。
ダイビングの参加前には必ず同意書の記入が必要になりますが、持病を隠しての参加は重大な事故に繋がりかねないので少しでも気になることは申し出ましょう。
ダイビングは水中という特殊な環境ゆえ、息ができない感覚、溺れそうという少しの不安からパニックに繋がるというケースが多いです。
ライセンスを持っていても技能不足や知識不足から対処ができずパニックになるダイバーもいます。
パニックになる前には必ずなんらかの予兆があり、ストレスや緊張を感じたらその場で止まり冷静に呼吸を整えることが大切です。
また、少しでも不安を感じたら無理せず周りに伝えることも予防の一つとなります。
管理不足や予期せぬ事態からエアが切れてしまうということで引き起こる事故です。
ですが、これはしっかりと管理していれば必ず防げる事態になります。
体験ダイビングではインストラクターの管理がすべてのため、必ず信頼のおけるショップに参加することが望ましいです。
パニック状態になってしまった、エアのコントロールが上手くいかなかったなどの理由で急浮上してしまうと重大な事故に繋がりかねません。
ダイビングでは圧縮した空気を吸うため、体内に蓄積された窒素が急浮上することにより膨張し減圧症やエアエンボリズム(膨張した肺の空気が破裂し、血液の流れを止めること)など身体に重篤なダメージを与える可能性が高いです。
ダイビング中に吸った空気の中に含まれる窒素は体の中に溶け込み、浮上と共に通常は呼吸から排出されます。
しかし、急浮上した場合など呼吸により排出が追い付かない場合、組織内や血管内で窒素は気泡化してしまいます。
気泡は血管を詰まらせたり、組織を圧迫することで障害を起こします。
症状としてはめまい、関節の痛みや四肢のしびれ、麻痺などが引き起こされます。
治療として再圧チャンバーと呼ばれる特殊な装置で行う必要があります。
また、ダイビング後はその日の飛行機への搭乗は気圧の関係で絶対にNGとなりますので旅行日程を立てる際は注意が必要です。
1ダイブで12時間、2ダイブ以上で18時間は空けましょう。(到着後のダイビングはすぐにでもOK)
ダイビングは基本的にバディシステムと言って2人1組で潜りますが、そのバディや一緒に潜っているチームからはぐれてしまうことで引き起こされる事故です。
ロストしたときは共通で「1分間その場で相手を探し、見つからなければ水面へ浮上」というルールがあります。
ダイビングで潜る前に必ず確認するため、きちんとルールを守れば万が一の事態にも備えることができます。
ダイビングは水の中という環境故に事故が起こると死亡するケースに繋がりかねません。
ですが、知っておけば未然に防ぐことはもちろんできます。
初めて参加する体験ダイビングからライセンスを持っているファンダイビングの方まで必見の内容です。
体験ダイビングでもファンダイビングでも言えることは安全なショップ選びが基本です。
石垣島だけでも200件以上のショップが存在するため、良いショップも悪いショップも混在していると言えます。
などが挙げられます。
まずはホームページやSNSで上記の内容をチェックすると良いでしょう。
詳しい内容は下記のコラムで説明しています。
体験ダイビングではインストラクター管理下の元、付きっきりでダイビングを行いますが、ファンダイビングはある程度自由に自分で楽しむことができます。
そのため何か起きた場合の対処などは自己管理が求められます。
まずは講習で正しい知識と技術を獲得しますが、いい加減なショップだとそれすら教えてもらえない可能性もあります。
ライセンスを取得する際のショップ選び、そのあとの自信の知識と技術の向上を怠らないのが大切です。
飲酒をした状態がタブーなのはもちろん、自己管理を行うことで防げることはたくさんあります。
ダイビングでは肥満、喫煙、睡眠不足などの生活習慣も事故に繋がることがあります。
自信を持って健康と言える状態で参加すること、不安な点があれば医師の診断を受けてから参加することで未然に防ぐことができます。
特に事故が起こる可能性が上がるとされている40〜50代以上の年齢や高齢の方、持病がある方は医師からの診断を受け診断書を貰ってからの参加が望ましいです。
診断自体は問診など数分で終わることが多く、問題がなければ思っているよりスムーズに終わります。
ここまで事故についてのお話が続きましたが、安全管理のしっかりしたショップ選び、自身の体調管理さえ怠らなければダイビングでは素晴らしい世界が待っています。
ツアーの一例をご紹介します。
石垣島の海をたっぷり満喫するなら1日コースがおすすめ。
初めての体験ダイビングの方でも浅い水深&穏やかな海で安心して楽しむことができます。
ダイビング以外にもシュノーケリングをしたり、サンゴと貝殻の欠片が堆積してできた無人島「幻の島」へ上陸したりと色んな遊び方をできるのもこのツアーの魅力。
体験ダイビングをちょっとやってみたい、でもシュノーケリングもやったり幻の島で写真も撮りたい!という方にはぜひ1日ツアー1ダイブコースがおすすめです。
幻の島で絶景をバックに写真を撮りたい&体験ダイビングでウミガメに会いたい!という方にはこのツアーがおすすめです。
体験ダイビングでは初めの1本目のダイビングでは行ける水深が6mまでとなっており、2本目で水深12mまで行くことができる決まりがあります。
ウミガメエリアでウミガメに会うにはだいたい水深8m~のところでのんびりとしていることが多いです。
そのため2ダイブした方が会える確率はぐんと上がります。
初めてのダイビングでは慣れてきたころに終わってしまった!ということがほとんどのため、がっつりダイビングを楽しみたいという方には2ダイブがおすすめです。
半日で2ダイブ楽しめるコースです。
滞在日程が短い、離島観光もしたい、とにかくダイビングだけやりたいという方におすすめのツアー内容となっています。
2ダイブできるコースなので2ダイブ目でウミガメなど大物を狙うこともできます。
石垣島のマリンアクティビティを体験ダイビングだけに絞って参加するならこのツアーがおすすめです。
ダイビングはしっかりと安全管理と自身の体調管理を行えばあらかじめ事故は防げるマリンアクティビティということを理解していただけましたでしょうか。
安全なショップ選び、自身の体調管理さえしっかりと行えばダイビングでは素晴らしい世界が待っています。
ぜひツアーに参加する際の参考にしてくださいね。
このコラムを書いた人:しおり(ダイビングスクールあつまるインストラクター)
埼玉県出身。社会人になってからハマったダイビングにのめり込みすぎて、気付けば2020年に石垣島移住。三度の飯より石垣島の自然と生き物が大好物。日中は海に潜り、夜は山探検が日課。自然と生き物に全振りした石垣島の生活からコラムをお届けしていきます。
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