石西礁湖とは、石垣島と西表島の間に広がる日本で最大のサンゴ礁海域のことです。石垣島の「石」と西表島の「西」をとって、石西礁湖(せきせいしょうこ)と呼ばれており、西表石垣国立公園に指定されています。
この広大なサンゴ礁域は東西に約20km、南北に約15kmの広がりを持っています。
世界で確認されているサンゴ種数は約800種と言われていますが、この石西礁湖では約360種以上のサンゴが分布し、非常に多様な種のサンゴたちが確認されています。その多様で豊かなサンゴ礁生態系は国内外から高い評価を得ているほか、学術的にも貴重な地域とされています。
この石西礁湖では、漁業の場としてはもちろんのこと、ダイビングやマリンレジャーなどの観光利用、船の運航、環境教育等の子どもたちの学びの場としても利用されており、地域の産業や暮らしに欠かせない存在なのです。
サンゴ礁の海は、地球全体の海の割合からすると0.1%しかない、とっても貴重な場所なのです。そんな0.1%の海の中に、地球全体の海の生き物の4分の1が棲んでいると言われ、非常にたくさんの種類の生き物たちがサンゴ礁で暮らしています。非常に多種多様な生物が暮らしているため、「海の熱帯雨林」とも例えられることもあるほどです。
様々な生き物が、サンゴを産卵場所や休息場所、また、隠れ家として利用していて、海の生き物にとって、必要不可欠なものになっています。 海の生き物だけでなく、私たち人間もたくさんの恩恵を受けているんですよ。例えば、食料。私たちの食卓にイラブチャー(ブダイ類)やグルクン、ミーバイ(ハタ類)などのおいしい魚介類を届けてくれます。
ほかにも、サンゴ礁が自然の防波堤の役割を担ってくれて、大きな波から守ってくれていたり、死んだサンゴの骨は建築資材として利用されていたり。 また、次世代を担う子どもたちの環境教育や学びの場としての機能もあります。
サンゴの白化現象
オニヒトデ
水質の悪化によるサンゴの病気
(写真はホワイトシンドローム)
そんなたくさんの恩恵をもたらしてくれるサンゴ礁。しかし、近年、石西礁湖では、年々サンゴが減少傾向にあるのです。
要因はいくつか挙げられますが、地球温暖化の影響から海水温の上昇によるサンゴの白化現象が多発していたり、主にサンゴを食べて暮らしている生き物「オニヒトデ」が大量発生したり。陸からの赤土流出や私たち人間が出した生活排水等々、少なからず私たち人間の生活スタイルの変化によってサンゴに大きな影響を与えてしまっているのかも知れません。
海水温が30度以上の状態が続くと、サンゴと共生している植物プランクトン(褐虫藻)が消失し、骨が透けて見える現象のこと。この状態が長く続くと、サンゴはストレスに耐えられずに死んでしまいます。
サンゴを食べるオニヒトデが大発生することによって、たくさんのサンゴが食べられ死んでしまう現象です。オニヒトデが大発生する要因は、未だに分かっていないのですが、人間が出した生活排水や赤土流出など、陸から海へ余分な栄養が流出することが要因のひとつでは?と言われています。
生活排水、肥料の栄養分、農薬などが流れ出し、サンゴの生息に影響を与えています。水質が悪化することで、病気のサンゴが増えてしまったりと、健全なサンゴ礁を保つことが難しくなります。
私たち人間の生活によって、どんどんサンゴを減らしてしまうのではなく、本来の美しいサンゴ礁を取り戻せるような取り組みを、いま一度考えてみませんか?